関東バス路線解説
中12「中野駅~江古田駅」(江原中野通り経由)




関東バス中12系統のD8013

約80年も前に完成し、もはや近代遺産としての呼び声の高い野方給水塔と中12
中12単独区間の哲学道~新江古田駅間の利用者減少により、岐路に立っている。

D8013 水道タンク前~芳花園住宅間 2023.4.30
(Photo:Ajiwai)


■遂に大幅減回!かつてのドル箱路線は生き残れるか?


中野駅~江古田駅間は、途中経由地の違いから系統が2つ中12,中41あるが、 1977(昭和52)年に廃止となった中77「江古田駅~中野駅~代田橋」の代わりに誕生した 中41「中野駅~丸山営業所経由~江古田駅」よりも当然古くから存在し、 運行形態を変えることなく長らく運行が続けられている路線である。

中12については、中野駅出発後に新井交差点を早稲田通りへ右折し、 中野五丁目を鋭角に左折してから新井薬師方面へ向かうため、 中野駅出発後に新道経由で新井小学校前を右折して新井薬師駅へ向かう中41よりも遠回りする印象があるが、 中野駅~江古田駅間の最小運転時間は中41の25分に対して中12は21分となっており、 実は中野駅から江古田駅へ乗り通す場合は中12の方が早く到着するのが意外なところだ。

中12は路線の途中に丸山営業所を経由しないため、 車両の出入庫は中20「中野駅~新道経由~丸山営業所」や 「江古田駅~江古田三丁目経由~丸山営業所」などが設定されているが、 車両代替の回数を最小限に留めるために、 丸山営業所から一番近いバス停となる「水道タンク前」で乗務員のみ交代を行う便が多いのが特徴である。

その「水道タンク前」であるが、 至近の位置に水道タンク(野方配水塔)があることからそのままバス停名となっている。 この野方配水塔は関東大震災後の人口集中に対応した給水塔として1929(昭和4)年に建設され、 1966(昭和41)年の給水施設使用停止以後は一時期廃墟と化していたが、 1977(昭和52)年に改修されて災害時対応用の貯水槽 「中野区立みずのとう公園内震災対策用応急給水施設」となっている。

1920年代から本格化した鉄筋コンクリート造(RC造) による造りや欧州の建築様式に影響を受けたドーム型の瀟洒な出で立ちは、 建設当初からそのままの姿を留めており、 地域のランドマークとして今も圧倒的な存在感を示している。 ちなみにこの野方配水塔は2010(平成22)年に国の登録有形文化財へ登録された。

「水道タンク前」バス停から至近のみずのとう幼稚園から見上げた野方配水塔。

水道タンク前 2023.4.30
(Photo:Ajiwai)
関東バス中12系統のD2306 表紙画像から約12年前、D2305が野方配水塔をバックに進む姿。

D2306 水道タンク前~芳花園住宅間 2010.12.28
(Photo:Ajiwai)


中12で過去に注目されたのが、 丸山営業所に最後に残る3扉車であったD3018「U-UA440HSN」の存在であろう。 D3018は2011(平成23)年1月17日に除籍となるまで、 最後の活躍の地として晩年は連日中12で過ごしていた。
丸山最後の3扉車が活躍する姿を見るため、当時足を向けた人も多いのではないかと思われるが、 D3018がこの路線で活躍する姿も遂に過去の風景となってしまった。 すなわち、1965(昭和40)年以来約45年に渡り活躍を続けてきた丸山管内における3扉車の姿は、 遂に全く見ることができなくなってしまったのだ。

そのほか、 丸山唯一の6000代であったD6026「PK-JP360NAN」が主に活躍していた路線もこの中12であり、 2011(平成23)年4月14日に五日市街道へ転属してしまったが、 孤軍奮闘していた姿が見られた。

その後、2010年代に入ると徐々に減回が進んだが、 2023(令和5)年4月1日のダイヤ改正では日中12~15分ヘッドから24~26分ヘッドへと大幅に減回された。
一気に大幅減便を行うと利用者が一気に離れ、 更に減便を重ねて負のスパイラルに陥るのがもはやセオリーとなっているが、 中12のような古参路線がこのまま衰退してしまうのか、 今後の将来が非常に気になる状態となった。

中野五丁目の鋭角ターンを行く中12のD2426。

D2426 中野五丁目 2023.4.1
(Photo:Ajiwai)
かつて、丸山に残る最後の3扉車:D3018が晩年を過ごした路線がこの中12であった。

D3018 江古田駅 2010.12.31
(画像提供:B5101様)
丸山唯一だった6000代が主に活躍していたのもこの中12である。

D6026 江古田駅 2010.12.14
(Photo:Ajiwai)





中12の運行について
(中野駅基準)

運行回数

(2010.11.16改正)
平日78回, 土曜・日祭89回
始車:0635
終車:2230(平日), 2223(土曜・日祭)

(2013.9.20改正)
平日74回, 土曜・日祭75回
始車:0635
終車:2228(平日), 2223(土曜・休日)

(2023.4.1改正)
平日55回, 土曜・休日53回
始車:0637(平日), 0640(土曜・休日)
終車:2222(平日), 2212(土曜・休日)

運行間隔

(2010.11.16改正)
朝8~13分(平日), 10~13分(土曜・日祭)
昼10~17分(平日), 9~10分(土曜・日祭)
夕12~14分(平日), 10~13分(土曜・日祭)

(2013.9.20改正)
朝10(10~16)分(平日), 13(12~13)分(土曜・休日)
昼15(14~15)分(平日), 12分(土曜・休日)
夕12分(平日), 12(12~15)分(土曜・休日)

(2023.4.1改正)
朝12(11~18)分(平日), 15(12~15)分(土曜・休日)
昼26(16~26)分(平日), 24(15~24)分(土曜・休日)
夕16(16~19)分(平日), 16(16~18)分(土曜・休日)

※朝は7~9時台, 昼は10~16時台, 夕は17~19時台としています。
※運行間隔は最頻値、カッコ内は当該時間帯の最大・最小運行間隔を示しています。
※H25.2.17より「日祭」ダイヤは「休日」ダイヤへ呼称変更となりました。


中12の出入庫路線

中10中野駅~丸山営業所(中野五丁目経由)
(2010.11.16改正)
※出庫は丸山営業所発 平日0620,0641の2回のみ、土曜・日祭は0620,0649の2回のみ
※入庫は中野駅発 平日2222,2246の2回のみ、土曜・日祭は2246の1回のみ

(2023.4.1改正)
※出庫は丸山営業所発 平日0622の1回のみ、土曜・休日は0626の1回のみ
※入庫は中野駅発 平日2240,2249の2回のみ、土曜・休日は2237の1回のみ

中20中野駅~丸山営業所(新道経由)

江古田駅~丸山営業所 (中12-1)

中野駅→江古田駅 (中12-2)
※平日中野駅2229発の1回のみ、江古田駅は武蔵大学方面の2番停留所に到着



経由する停留所名

※リンクのある停留所名をクリックすると画像を見ることができます。
※同じ停留所でも江古田駅方面、中野駅方面で別画像に分けています。
※「哲学道~新井中野通り」間の停留所画像は、練馬急行様よりご提供頂きました。
この場をお借りして心より御礼申し上げます。


中12中野駅→江古田駅

中野駅 →新井交差点南 →新井中野通り中野五丁目新井薬師梅照院前
新井薬師口 →新井薬師前駅 →上高田中通り哲学堂公園入口哲学堂
水道タンク前芳花園住宅江原中野通り江原町一丁目新江古田駅
江古田駅
江古田駅※(中12-2)のみ停車

上高田小学校(改称前)

中12江古田駅→中野駅

江古田駅新江古田駅江原町一丁目江原中野通り芳花園住宅
水道タンク前哲学堂哲学堂公園入口上高田中通り新井薬師前駅北口降車場
新井薬師前駅新井薬師口新井薬師梅照院前中野五丁目新井中野通り
中野区役所中野駅

上高田小学校(改称前)
新井薬師前駅北口降車場(交換前)



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