大宮八幡宮の前を横切る高45永福町行。 E153 大宮八幡前 2014.1.17 (Photo:Ajiwai) 高45,新02「高円寺駅,新高円寺駅~永福町」は、 JR高円寺駅より東京メトロ丸ノ内線新高円寺駅を経由、 途中に松ノ木住宅、大宮八幡宮付近の狭隘道路を経由しながら永福町まで至る、 関東バス五日市街道営業所と京王バス永福町営業所による共同管理の路線である。 当初は京王帝都電鉄時代に永01「永福町~松ノ木住宅」として運行されてきたが、 松ノ木住宅~新高円寺駅~高円寺駅間を延伸する形で2002(平成14)年6月1日より関東バスと共同管理で新たな運行がスタート、 通称松ノ木線と呼称されるようになった。 ■松ノ木線は、ソフト・ハード両面の進化による現代の路線。松ノ木線開設は先述の通り2002(平成14)年6月1日と比較的新しい路線だが、 1950年代には既に永福町から松ノ木町へ向かう路線が開設されている。 関東バスにも造詣の深い泉麻人氏著の「大東京バス案内」によると、 運行開始当初は松ノ木住宅より先の方へ行っていたとの記述もあることから、 古くから路線の原形は存在していたといえよう。 その後同路線は1972(昭和47)年の系統番号の一斉付番により、 永01「永福町~松ノ木住宅」となった。 地元住民の重要な交通手段として永福町方面の足は古くから確保されていたが、 丸ノ内線新高円寺駅やJR線高円寺駅方面への交通アクセスが無かったことから、 杉並区民である沿線の住民が杉並区役所等の行政施設に出向く場合などは極めて不便で、 地元住民からは杉並区南北交通バスの開設要望が古くから断続的に行われていた。 しかし松ノ木住宅以北~松の木付近の五日市街道間は道路幅が更に狭くなることから、 戦後直後の路線設定ができていた時代から時は流れ、 車両制限令が施行されたこともあり松ノ木住宅以北を既存のバス車両が通過することはもはや不可能となっていた。 そうした路線環境に変化が訪れたのが2000年代に入ってからである。 1995(平成7)年11月26日より運行を開始し、 全国のコミュニティバスの先駆けとなった武蔵野市コミュニティバス「ムーバス」の成功を期に、 杉並区内の南北交通開拓に関する諸検討が杉並区主導で進み、 結果として2000(平成12)年11月25日より阿佐ヶ谷駅~浜田山駅(すぎ丸けやき路線)が運行を開始した。 そしてこの「すぎ丸」についても既成市街地における新規需要の掘り起こしができるなどのメリットが明らかになるにつれて、 杉並区内の交通不便地域における南北バス新設が現実味を帯び、 松ノ木住宅以北を延伸して高円寺駅方面へつながる路線延伸による利害が関東バス・京王バスの双方で一致、 路線開設へ向けた具体的な検討が本格化した。 そうした状況下で、 路線新設にあたっては狭隘路線や都市内コミュニティ・バス向けに開発され、 専用車として活躍した三菱ふそう小型ノンステップ路線バス :エアロミディME「KK-ME17DF」の存在無くしては語れない。 狭隘道路を通行でき、 かつ交通バリアフリー法に適合した車両である全幅2mのエアロミディME「KK-ME17DF」7mタイプが開発され、 2002(平成14)年に新発売となったが、 この新車種の登場によりいままで困難とされてきた松ノ木住宅以北の狭隘道路通過に対する課題がクリアとなり、 いよいよ永福町~高円寺を結ぶ路線新設が実現する運びとなった。 このエアロミディMEの発売に合わせて関東バス・京王バスが共にエアロミディMEを3台ずつ発注、 計6台を2002(平成14)年5月に松ノ木線専用車として投入し、 それぞれ関東バスはE151~E153、 京王バスはD30261~D30263の社番が与えられた。 高45,新02は、 社会情勢の変化による新しい価値観の創造と、 新たに制定された交通バリアフリー法にも適応した車両が新たに開発されたことに拠る、 ソフト・ハード両面の進化がもたらされたからこそ実現が可能となった、 現代ならではの路線と言えるだろう。 路線開設に際しては、 松ノ木住宅~松の木間の沿道整備が杉並区によって行われているが、 基本的には補助金活用によらない民間による路線運営となっている。 ということで、 「杉並区南北交通バス」として杉並区により路線運営されている「すぎ丸」各線とは路線運営手法が全くことなるところが特徴である。 ■新02を朝夕に設定し、運行間隔を詰める工夫。この松ノ木線は高45「高円寺駅~永福町」と、 途中折り返し系統である新02「新高円寺駅~永福町」の2系統が設定されており、 日中の概ね9~18時が高45、 その他朝と夜間の時間帯が新02というように、 時間帯別に運行区間が明確に区別されている。 これは朝夕ピーク時には相対的に需要の少ない南北バスとしての機能を捨て、 通勤利用の多い「永福町~松ノ木住宅~新高円寺駅」間の運転とすることで、 運行間隔を高45の15分から新02の11分としている。 こうした工夫を行うことで使用車両数を増加させることなく運行間隔を詰め、 系統全体の収支体質を強化する工夫がなされているのが特筆される。 このダイヤ構成は2002(平成14)年6月1日の運行開始から変更されることなく続いており、 需給バランスに応じてダイヤ改正が随時改正される傾向のバス路線において10年以上に渡り運行回数が全く変わっていないことも非常に珍しい事例といえる。 また珍しいといえば、 永福町での折り返し待機のため関東バスの一般路線車が京王バスの永福町車庫に入庫する姿が見られるが、 他社の一般路線車両が営業所の車庫内で日常的に見られるのも珍しい。 こうして綿密なダイヤ設定や路線運用により維持が図られている松ノ木線だが、 2014(平成26)年には運行開始から遂に干支が一巡するに至った。 運行開始当初から活躍を続けてきたエアロミディも経年により世代交代が発生、 関東バスでは2013(平成25)年1月には阿佐谷から元なかのん用だったA154がE154となり転入、 次いで2015(平成27)年3月にはE151~E153の代替としてE111,E112「日野ポンチョ:SDG-HX9JLBE」が登場した。 京王バスもD30261~D30263の代替として2015(平成27)年7,9月にD21561,D21562「日野ポンチョ:SDG-HX9JLBE」が登場した。 また京王バス側では、 すぎ丸やハチ公バスの共通予備車としても使用可能な京王バスカラー日野ポンチョのD21650,D21651を追加で投入しており、 日野ポンチョへの車種統一が図られた。 上記の通り車両代替が一巡したため、 今後しばらくは車両の動きは落ち着くと見られるが、 各社の予備車の動向には引き続き注目である。
高45,新02の運行について (永福町基準:2014.1.20現在,運行開始当初よりダイヤ変更無し) 運行回数 全日42回(高45), 28回(新02) うち関東バスは21回(高45),14回(新02) 運行時間帯 0845~1857(高45) 0645~0834,1917~2213(新02) 運行間隔 朝11分 ※ただし0907,0927発の間のみ20分間隔 昼15分 夕11分 ※ただし1857,1917発の間のみ20分間隔 ※朝は7~9時台, 昼は10~16時台, 夕は17~19時台としています。 ※運行間隔は最頻値、カッコ内は当該時間帯の最大・最小運行間隔を示しています。 ※H25.2.17より「日祭」ダイヤは「休日」ダイヤへ呼称変更となりました。 ※出入庫は全て回送(関東バス)、京王バスは出入庫路線無し →高45,新02関連の詳細路線図はこちら ※京王バスは商号変更等により以下の通り名称が多岐に渡ることから、 本頁では総称として「京王バス」と記載しています。 京王帝都電鉄(1948.6.1)→京王バス(1997.4.1)→京王バス東(2003.10.1)→京王バス(2020.10.1) 経由する停留所名 ※リンクのある停留所名をクリックすると画像を見ることができます。 ※同じ停留所でも永福町方面、高円寺駅方面で別画像に分けています。 ※「高円寺駅南口~大法寺,大宮八幡入口」の停留所画像は、練馬急行様よりご提供頂きました。 この場をお借りして心より御礼申し上げます。 高45高円寺駅→永福町 高円寺駅南口 →福祉事務所 →新高円寺駅 →大法寺 →松の木 →松ノ木二丁目 →松ノ木公園 →松ノ木住宅 →都立和田堀公園 →大宮八幡前 →大宮町 →西永福 →永福町 高45永福町→高円寺駅 永福町 →大宮台 →大宮八幡入口 →大宮町 →大宮八幡前 →都立和田掘公園 →松ノ木住宅 →松ノ木公園 →松ノ木二丁目 →松の木 →大法寺 →新高円寺駅 →福祉事務所 →高円寺南四丁目 →高円寺駅南口 ■松ノ木線関連のコンテンツ →関東バス150代型式解説 (松ノ木線で活躍する150代車両解説のページ) | ||||||||||||
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