関東観光_エレベーター搭載モデルのエアロエース8号車

関東観光, 貸切車両の解説 | エクスプレス関東アーカイブス

EXPRESS KANTO ARCHIVES



東京パラリンピック2020の選手や関係者輸送のため、
車いす用エレベーターを搭載した8号車が起用された。
関東バスの貸切仕様車が新車で直接投入されるのは、実に約26年振りのこととなった。

8[青梅街道]「2TG-MS06GP」晴海四丁目(ホテルマリナーズコート東京付近)2021.8.24
(画像提供:阿03の人様)


■かつて栄華を極めた貸切部門も、現在では最小限の台数で運用。

関東バスの観光部門が設置されて貸切バスの運行を開始したのは1951(昭和26)年のことで、 発足から約70年を超えることとなった。
高度経済成長期からバブル期にかけて貸切部門は大きな発展を遂げたが、 1990年代に入るとバブル崩壊やレジャー多様化などの影響による需要伸び悩みにより貸切仕様車は減車を重ね、 現在では事業を維持するために必要最低限の保有台数である5台を青梅街道営業所に配置、 関東バス全体でも計10台の配置に留まっている。

近年では成田空港線で使用されていた348「KL-RA552RBN」が貸切仕様に転用されたり、 羽田空港線用として使用されてきた132「LKG-RU1ESBA」が定員が乗員を入れて61名と多いことを活かしてガイド席を追加のうえ転用されるなど、 既存車両のコンバートにより車両数を確保してきたが、 東京オリンピック・パラリンピック2020を翌年に控えた2019(平成31)年3月には、 オリパラ輸送に対応するため車いすによる乗降を簡易に行うため車両にエレベーターを設けた三菱ふそうエアロエース:8号車「2TG-MS06GP」を投入され、 実に約26年振りに関東バスの貸切仕様車が新車で直接投入された。
実際に、新規投入された8号車は2021(令和3)年の東京オリンピック・パラリンピック時に選手や関係者の輸送に従事した。

最近は新型コロナの感染拡大により貸切ツアーの設定自体が減少したことで、 貸切車両の活躍する機会が減少しており、 青梅街道営業所の奥に留置された日々が多いのが気がかりであるが、 コロナ禍が収束した暁には再起することを期待したい。


東京パラリンピック輸送に従事する8号車。

8[青梅街道]「2TG-MS06GP」新井五差路交差点(北野神社付近)2021.8.23
(画像提供:阿03の人様)
キリンレモンスポーツセンター(中野区立総合体育館)が卓球の練習会場に指定されていたため、 他のバス会社と一緒にスポーツセンターの駐車場に乗り入れる姿が見られた。

8[青梅街道]「2TG-MS06GP」キリンレモンスポーツセンター(京王バス新井四丁目付近)2021.8.23
(画像提供:阿03の人様)
8号車の車内画像。
車椅子対応のエレベーターが装備されているのが特徴。

8[青梅街道] 2022.9.19
(Photo:Ajiwai)

→車椅子利用の際は、画像のようにELV前の2列分を前方へスライドさせる。
8[青梅街道] 2022.9.19
(Photo:Ajiwai)
貸切仕様車として丸山から青梅街道へ転属した297号車が、
お盆休み期間のほの国号を代走した。

297[青梅街道]「KL-RA552RBN」練馬駅北口 2019.8.14
(画像提供:阿03の人様)

→297号車は最後まで残った「EXPRESS KB」車両だった。
297[青梅街道] 青梅街道営業所 2015.5
(画像提供:ヨコオテツヤ様)
成田空港線用として使用されてきた348号車は'13年11月に貸切車へコンバートされた。
画像はお台場直行バスに充当された際の姿。

348[青梅街道]「KL-RA552RBN」東京ビッグサイト前交差点 2019.4.29
(画像提供:6621様)
羽田空港線用として投入された132号車だが、 トイレ無しで定員が多いことなどからガイド席を追加して貸切仕様車へ変更された。

132[青梅街道]「LKG-RU1ESBA」中野区役所 2016.6.11
(画像提供:kbb12345様)
関東観光とは主旨が離れるが、
荻窪病院シャトルバス用としてムーバスから改修されたC025は貸切登録車である。

C025「BDG-HX6JLAE」西荻窪駅北口 2022.7.16
(Photo:Ajiwai)

プロムナード荻窪の居住者送迎バスとして使用された車両を関東バスが購入したのが188号車である。
'17年2月に五日市街道へ転出し、画像の通り現在は杉並ナンバーとなっている。

188[五日市街道]「PB-RX6JFAA」五日市街道営業所 2017.2.7
(画像提供:kbb12345様)
武蔵野営業所に所属する貸切登録車はお台場直行バスに使用されている。
'22年7月末をもって運用離脱した131号車は空港連絡バスから転用された車両である。

131[武蔵野]「KC-RU3FSCB」吉祥寺駅北交差点 2022.7.23
(画像提供:6621様)
夜行高速バス用に投入された120号車は'20年に武蔵野へ転属したが、
転属後は季節運行のお台場直行バス増発便に使用されるのみで稼働率が低い。

120[武蔵野]「KC-MU612TA」吉祥寺駅北口 2022.5.1
(Photo:Ajiwai)
お台場直行バス131号車の代替として'22年7月に導入された634号車。
小田急ハイウェイバスから事業者間移籍した車両だ。

634[武蔵野]「BKG-MS96JP」有明ガーデン~国際展示場駅間 2022.8.6
(Photo:Ajiwai)
阿佐谷営業所に所属する「かんにゃん。」ラッピングバスは貸切兼用車扱いで、
一般路線に充当される他に送迎バスの特送もこなす。

A7109「LKG-KV234L3」新宿駅西口 2016.12.28
(Photo:Ajiwai)



■古き良き時代の関東観光バス。

関東観光における貸切バスは1960年代から70年代にかけて大きく発展を遂げ、 80年代にピークを迎えた。 女性バスガイドの職業が当時憧れの職業として認知されていたこともあり、 関東観光における貸切部門も特別な存在として君臨していた時代もあったといい、 1991(平成3)年には貸切仕様車のみで48台保有するに至った。

1970年代から90年代にかけて貸切仕様車両の外板塗色は2回変更され、 1988(昭和63)年8月6日より運行開始した新宿~奈良間の夜行高速バス 「やまと号」から採用された現行塗色に至る頃が最も活気があったと言えよう。

最盛期ともいえる時代に関東バスで活躍していた車両群を後世に残すべく、以下にまとめて紹介したい。


2世代前の塗装をまとった「関東観光」仕様の車両群。
当時は中野養護学校(現中野特別支援学校)や立川聾学校の通学バスも担当していた。

(左から)2248, 2653, 2247 東京都立中野養護学校(現中野特別支援学校) 1985
(画像提供:遠藤知生様)
当時投入されていた車両は三菱+富士重が主流だったが、日野+富士重も投入されていた。
「RV730P」1978(昭和53)年式で、2世代前の塗色や丸みを帯びた形態が時代を感じさせる。

1946[青梅街道]
「日野/富士重3B:RV730P」1978(昭和53)年式
立川聾学校 1985
(画像提供:遠藤知生様)
1981(昭和56)年度に投入されたスケルトンボディの日野RS。 同年度から黒色をアクセントに入れたこの塗色に変更された。
派手な塗り分けではないが、 上品かつ存在感ある塗装として幅広い支持を集めた。

3018[青梅街道]
「日野フルデッカー:K-RS360P」1981(昭和56)年式
青梅街道営業所 1985
(画像提供:遠藤知生様)
1990(平成2)年10月に登場した貸切仕様車である5481~5485は、
1988(昭和63)年に運行開始した「やまと号:EXPRESS YAMATO塗装」に準じた「EXPRESS KANTO_塗装」で登場した。

5481[観光バス]
「日野セレガFD:U-RU2FTBB」1990(平成2)年式
青梅街道営業所(分車庫,現廃止) 1991
(画像提供:遠藤知生様)
1991(平成3)年に登場した、 貸切仕様車の切り札といえる三菱エアロクイーンK「U-MS729S」。
前年度である'90年に登場した貸切車は「EXPRESS KANTO_塗装」となったが、 旧塗装をベースとした塗り分けで登場したことが特筆される。

5760[観光バス]
「三菱エアロクイーンK(タイプII):U-MS729S改」1991(平成3)年式
青梅街道営業所(分車庫,現廃止) 1991
(画像提供:遠藤知生様)
5760,5761と同期である5770,5771。
5770,5771は車体更生時に「EXPRESS KANTO塗装」へ変更され、 晩年には深夜中距離バス予備→中野・羽田空港線予備と転々とした。

5771[観光バス](車体更生後の姿)
「三菱エアロクイーンK(タイプII):U-MS729S改」1991(平成3)年式
青梅街道営業所(分車庫,現廃止) 1997
(画像提供:遠藤知生様)
6140は1993(平成5)年式で関東バスの在籍記録が20年超えたが、 '14年3月には遂に引退を迎えた。

6140[青梅街道]
「日野セレガGJ:U-RU3FTAB」1993(平成5)年式
栃木県那須塩原市(貸切運用時の姿) 2009.6.17
(画像提供:遠藤知生様)
6139,6140はどちらも貸切車として同日に登録されたが、 6139は空港線(予備)として一度転用改造を受けたために、 両車では座席など仕様が異なる結果となった。

6139(左),6140(右)[青梅街道]
「日野セレガGJ:U-RU3FTAB」1993(平成5)年式
青梅街道営業所 2003.4.2
(画像提供:遠藤知生様)


→貸切仕様車の車両配置表(現役車両編)

→貸切仕様車の車両配置表(除籍車両編)



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