'13年10月15日に経路変更が行われ、かつての荻71の経路を一部通過するようになったかえで路線。 C158 29南荻窪三丁目~30西荻南三丁目間 2014.1.5 (Photo:Ajiwai) ■関東バスが運行受託した「すぎ丸・かえで路線」。 ※「けやき路線・さくら路線」は後段で解説です…。杉並区の南北交通バス「すぎ丸」は、 2000(平成12)年11月25日に阿佐ヶ谷駅~浜田山駅(現:けやき路線と命名)が運行を開始し、 2004(平成16)年10月30日からは「さくら路線:浜田山駅南~下高井戸駅入口」、 そして3番目の路線として2008(平成20)年11月29日より運行開始となった「かえで路線:西荻窪駅~久我山駅」が追加で開設され、 いままで非常に不便であった杉並区の南北交通手段として需要が開拓された。 すぎ丸の路線は上記の計3路線となっているが、 そのうち3番目の路線として運行開始となった「かえで路線:西荻窪駅~久我山駅」については関東バス(青梅街道営業所)による運行となり、 その専用車として投入されたのが150代(C158~C160)である。 関東バスで150代といえば、 2002(平成14)年,2005(平成17)年に高45,新02(高円寺駅,新高円寺駅~永福町)、 K01「なかのん(中野区コミュニティバス:中野駅~八成小学校間)」専用車として投入された車幅が約2mである 「三菱エアロミディME:KK-ME17DF,PA-ME17DF」ということになるが、 「かえで路線」用として投入された車両は「日野ポンチョ:BDG-HX6JLAE」となっており、 続番で登場したにも関わらず車両メーカー自体が異なるという特異な状況となっている。 158~160のメーカーラインナップからの仕様選択は、 前乗り(前輪後ろに扉があるためメーカー諸元では中乗)後降りの2扉単区間対応ロング仕様となっており、 シートレイアウトは横向きタイプ、全長6,990mmでホイールベースは4,825mmとなっている。(※1) C158~160は2008(平成20)年11月7日に3台が納車されたが、 青梅街道営業所では同クラスの車両を保有していないため、 20分ヘッドで3台配置・3台使用のダイヤとなるとこのままでは車両検査時などは台数が不足する。 そこで「かえで路線」開設に先立って2008(平成20)年10月、 中野区コミュニティバス「なかのん」専用車であったA157 「三菱エアロミディME:PA-ME17DF」を関東バス一般塗装へ塗色変更した上で青梅街道へ転属させ(A→C157)、 「かえで路線」予備車として1台確保することで計4台の体制を組んだ。 その後しばらくは専用車3台、予備車1台の体制で推移したが、 2016(平成28)年9月1日からは運用が五日市街道営業所へ移管された。 C158~C160はそのまま五日市街道へ転属となり、 杉並ナンバーとなりE158~E160として活躍した。 そして予備車については、高45,新02「高円寺駅,新高円寺駅~永福町」(松ノ木線) で使用される関東バスカラーのE111,E112「日野ポンチョ:SDG-HX9JLBE」が代走するようになり、 青梅街道に残留となったC157がすぎ丸を代走することは無くなった。 E158~E160は「すぎ丸」専用塗装のため他路線で使用されることはなく、 専ら「かえで路線:西荻窪駅~久我山駅」のみで使用された。 その後2019(平成31)年に入ると車両の世代交代が発生、 1月17日にE158の代替としてE161「2DG-HX9JLCE」が登場したほか、 24日にはE159に代わりE162が登場した。 また2020(令和2)年2月25日にはE158,E159から1年遅れでE160が除籍、 代替としてE163が追加で登場し、 運行開始から使用されてきた車両は全車退役した。 (※1):日野ポンチョ主要諸元表より抜粋 ■鉄道駅を結ぶ、循環ではない異色のコミュニティバス「すぎ丸」。「けやき路線・さくら路線」の2系統は京王バス東(永福町営業所)が運行を受託しており、 2000(平成12)年11月25日に阿佐ヶ谷駅~浜田山駅で開通した路線が「すぎ丸」の最初の路線である。 「すぎ丸」と聞くと阿佐ヶ谷駅~浜田山駅の「けやき路線」を連想する人が今でも多いようである。 「すぎ丸」は(杉並区南北バス)の副称が付いているように、 1995(平成7)年に運行を開始したコミュニティバスのパイオニアである「ムーバス」とは異なり、 地域内を循環する従来のビジネスモデルではなく、 杉並区内の鉄道駅を南北に結ぶ経路設定となっており、 運行開始当時は異色の存在として注目を集めていた。 しかしほどなくしてこの「すぎ丸」が、 既成市街地における新規需要の掘り起こしができるなどのメリットが明らかになると、 2002(平成14)年 6月1日より民間主導の杉並区南北バスとして 高45「高円寺駅~永福町」が関東バスと京王バス東の共同運行により実現したことは、 記憶に新しいところである。 「すぎ丸」開業に合わせて日野リエッセ「KK-RX4JFEA」D20054~D20058の5台が投入され、 基本15分ヘッドの運転で、 5台配置の4台使用体制でスタートした。 また2002(平成14)年4月1日からは、 夜の入庫便である永福町行きが、 浜田山駅を経由せず直接入庫する形態から浜田山駅経由の入庫に変更されておおよそ現在の運行形態となった。 基本の仕様は進行方向右側の座席が横向き・左側は前向きのシートレイアウトにツーステップであるが、 D20057については全てが前向きシート配置でリフト装備付き、 D20058についてはリフト装備にCNG改造車となっており、 D20058のみ定員の関係から登録ナンバーが「練馬200か」ではなく「練馬200あ・・40」となっていたのが特徴である。 ただしこのCNG改造車であるD20058については2010(平成22)年1月末にD21043「日野ポンチョ:BDG-HX6JLAE」に置き換えられ、 すぎ丸初の世代交代が行われた。 その後、初代車両の置き換えが急速に進み、 先述のD20058→D21043への世代交代を皮切りに、 2010(平成22)年11月にはD20055がD21069「BDG-HX6JLAE」に、 そして2012(平成24)年1月にはD21202,D21203「SDG-HX9JLBE」が登場しD20054,D20056が除籍となった。 運行開始から最後まで残った車両は「けやき路線,さくら路線」共通予備車のD20057のみとなったが、 これも2013(平成25)年1月にはD21312「SDG-HX9JLBE」に置き換えられ、 「けやき路線」登場当初から活躍していた車両は全て第二世代に置き換わった。
■「阿佐ヶ谷住宅」建て替えと共に、「すぎ丸」は新たな時代を迎える。けやき路線の途中経路には、 戦後の近代建築史に多大な功績を残した、 日本を代表する建築家である前川國男を中心とした設計により、 1958(昭和33)年に完成した阿佐ヶ谷住宅があるが、 この阿佐ヶ谷住宅には触れておく必要があろう。 前川國男による瀟洒なテラスハウスと、 戦後日本に爆発的に建ち並ぶこととなった団地のプロトタイプとなった日本住宅公団(当時)の団地群が並ぶ阿佐ヶ谷住宅を、 すぎ丸は全体を眺めるように低速で通過していた。 道路形状をループ状とし、 周辺道路との接続を少なくすることで通過車両による喧騒を自然とシャットアウトする構成は、 阿佐ヶ谷住宅独特の落ち着いた雰囲気を創り出しており、 すぎ丸に乗ってこのループ道路を約3分の2周しているうちに、 阿佐ヶ谷や浜田山のどちらの街とも違う、 時間の流れがどことなく異なる雰囲気に思わずひと息つく思いをされた利用者の方は多いことと思う。
しかし建物の物理的・社会的寿命により遂に全面的に建て替えられることとなり、 解体工事と道路形状の変更工事が本格化した2013(平成25)年11月5日からけやき路線の経路が変更され、 「阿佐ヶ谷住宅東,中央広場,阿佐ヶ谷住宅西,杉並高校」が廃止、 杉並税務署~杉並高校敷地間を短絡する新しい道路を通るようになった。 ※「阿佐ヶ谷住宅南(阿佐ヶ谷駅方面)は新道路に移設のうえ臨時停留所として名称は存置、 阿佐ヶ谷住宅南(浜田山駅方面)は新道路上に新設」 その後,建物新築を前提とした新道路の本設化により、 2014(平成26)年12月1日には新道路上に「阿佐ヶ谷住宅南」を新設、 臨時停留所となっていた「阿佐ヶ谷住宅南」は「阿佐ヶ谷住宅東」へ改称された。 また経路や停留所数が大幅に変更されたことから、 停留所番号がけやき路線全線で一斉に変更された。 2014(平成26)年12月時点で現地を再訪した際は、 まだ新しい建物の基礎工事状態だったため、 更地の仮囲いの中を行く殺風景な光景となっていたが、 建物群は野村不動産ブランドの「プラウドシティ阿佐ヶ谷」として2016(平成28)年夏に完成した。 現在では「プラウドシティ阿佐ヶ谷」への入居も始まり、 「すぎ丸」は新たな住民を迎え、 全く新しい景観のなかを走り始めた。 近年は周辺住民の高齢化により、 じわじわと利用者減少傾向がみられたけやき路線であるが、 「プラウドシティ阿佐ヶ谷」誕生により需要の底上げを期待したいところであろう。 その他すぎ丸には、 2004(平成16)年10月30日より運行が開始された「すぎ丸・さくら路線」(浜田山駅南~下高井戸駅入口)が運行されており、 さくら路線開業時に併せてCNG改造車の日野リエッセ「KK-RX4JFEA改」D20413,D20414が2台新製された。 これら2台については共にリフト付きとなっており、 さくら路線専用車として運用され、 基本的にけやき路線で使用されることはなかった。(※2) (※2):ただしD21414除籍後の2016(平成28)年にはすぎ丸車両が全車共通運用化され、D20413がけやき路線に使用されるようになった。 30分ヘッドの2台使用で、 さくら路線はリフト付き限定ダイヤとなっていることから、 D20413,D20414の検査時等はけやき路線用に1台確保されていたリフト付きの予備兼用車:D20057による代走が行われていた。 こうして京王バス東による運行である2路線については、 兼用予備車としてD20057が常に1台確保されるのだが、 さくら路線用車両の検査時にけやき路線用車両であるD20057が代走中、 更に他のけやき路線用車両に不具合が発生した時など不測の事態が発生することも稀にある。 その際に使用される第二の予備車としては、 2008(平成20)年1月に調布より転属してきた、 渋谷区コミュニティバス「ハチ公バス」の予備車となっている、 京王バスカラーのD20051(練馬200か18-61)「日野リエッセ:KK-RX4JFEA」が充当されていた。 しかしD20051がすぎ丸に充当中の姿を見ることは極めて少なかった。 そして2012(平成24)年のD20051除籍後は、 代わりの予備車として京王バスカラーのD21038(練馬200か22-89)「日野リエッセ:BDG-RX6JFBA」が代走を勤めるようになった。 また、 2015,16(平成27,28)年に投入された京王バスカラーのD21650,D21651(杉並200か・・ 47,杉並200か・・ 51)「日野ポンチョ:SDG-HX9JLBE」 が代走を務める場面も見られるようになり、 D21038の代走は頻度が下がった印象である。 ごく最近の動きとしては、 2015(平成27)年12月、2016(平成28)年12月に 「さくら路線」で使用されてきたCNG車のD20414,D20413「KK-RX4JFEA改」がD21563,D21657「SDG-HX9JLBE」へ代替となり、 すぎ丸専用車両が全て日野ポンチョへ統一され永福町営業所のCNG車が全廃された。 CNG車全廃に伴い、 永福町営業所内に設置されていたCNG充填施設の「京王エコ・ステーション永福町」は廃止された。
→すぎ丸・車両配置表のページへ →すぎ丸・全路線一覧表のページへ ※阿佐ヶ谷住宅建て替えに伴う改変詳細を追記 | ||||||||||||
関東バス・アーカイブス「味わい」 | すぎ丸・アーカイブスのトップページまで戻る ←EXIT 画像の著作権は撮影者に帰属します。また画像や当サイトの資料を無断使用することや二次加工を一切禁止します。 画像は著作権保護のための処理を行っております。 Reproduction or appropriation of HTML, images and photographs from within this site is strictly prohibited. Copyright(c)Ajiwai. All Rights Reserved. |