ムーバス(武蔵野市コミュニティバス)

関東バス車両・路線解説


東急百貨店前のムーバス020

東急百貨店前で多くの乗降客で賑わう姿。
「ムーバス」の成功を端的に示す象徴的な光景だ。

020 東急百貨店前 2013.6.15
(Photo:Ajiwai)

■ムーバスに使用される車両の解説です。


武蔵野市内における交通不便地域を解消し、 子供連れや高齢者の外出機会向上を目的とした行政サービスの一環として、 1995(平成7)年11月26日よりまず「吉祥寺東循環」(1号線)より運行を開始したのが、 武蔵野市のコミュニティバス「ムーバス」である。

運行に係る赤字分については全て武蔵野市が負担するということで、 関東バスが運行を受託することとなったが、 運行開始時より利用者数は順調に増加し、 武蔵野市資料によると2000(平成12)年度には単年度黒字を達成した。 こうした事業の成功は、 日本各地の自治体から見学が殺到することとなり、 日本全国におけるコミュニティバスブームのパイオニアとして広く認知されるに至った。

運行経路の大部分が狭隘路線となっていることから、 開業時に投入された車両は運行開始時期とちょうど同じ1995(平成7)年に製造を開始した小型バスである日野リエッセ「KC-RX4JFAA」となっている。 これは従前のマイクロバスでは実現していなかった前扉・中扉の2扉構成や運転席横の運賃箱設置スペース確保を可能とし、 小定員でも運賃収受をするこの仕様はコミュニティバスの運行形態には最適であったため、 日野リエッセの登場が全国的ブームとなったコミュニティバスの礎を築いたといっても過言ではない。

運行開始時に投入された車両は001~003の3台体制であったが、 その後1998(平成10)年3月9日の「吉祥寺北西循環」(2号線)開通に合わせて004,005を投入、 1999(平成11)年3月には増発ダイヤ改正により006、 更に2002(平成14)年3月23日に運行開始の「三鷹駅北西循環」(4号線)開業用として010~012「車両形式はKK-RX4JFEAへ変更」、 2007(平成19)年3月31日に運行開始の「三鷹・吉祥寺循環」(6号線)用として020~022「日野ポンチョ:ADG-HX6JLAE」が次々と投入されている。

その後、ムーバス開業当初に登場した001~003は2005(平成17)年に015~017「日野リエッセ:PB-RX6JFAA」へ代替、 004~006は2008,2009(平成20,21)年に023~025「日野ポンチョ:BDG-HX6JLAE」へ代替となったほか、 2013(平成25)年2月には010~012が026~028「日野ポンチョ:SDG-HX9JLBE」に置き換えられて、 この時点で全ての車両が二代目となった。
更に2016(平成28)年9月には015~017が029~031「SDG-HX9JLBE」に代替され、 現在は日野ポンチョへ統一されている。

関東バスに配置されるムーバス用車両は計12台の配置で、
1号線が2台、 2号線が3台(土曜・日曜・祝日は4台)、 4号線が2台、 6号線が2台の計9台(土曜・日曜・祝日は10台)使用の体制となっている。(※1)

運行開始当初はそれぞれの路線において開業時に投入された車両による限定運用となっていたが、 関東バスに運行委託された路線については今では限定運用も解消し、 共通運用で各路線に充当されている。

その後も世代交代は続き、 初期の日野ポンチョである020~025も代替時期がやってきた。
2018-19(平成30-31)年にムーバスの任を解かれた020~025については、 関東バスの一般路線仕様化の改修工事を受けて各営業所へ散らばり、 一般路線や荻窪病院シャトルバス「西荻窪駅~荻窪病院」で新たな活躍を始めている。

ムーバス026型式写真 「ムーバス」は日野ポンチョに統一された。 

026 東急百貨店前→コピス吉祥寺間(商工会館前交差点) 2013.6.8
(Photo:Ajiwai)
ムーバス032利用者5000万人突破 「ムーバス」は95年の運行開始から25年で累計利用者5,000万人を突破した。 

032 三鷹駅北口 2020.11.8
(Photo:Ajiwai)




一方、2000(平成12)年11月26日に開業した「境南西循環・東循環」(3号線)、 2004(平成16)年11月27日に開業の「境西循環」(5号線)、 2005(平成17)年5月29日の「境・東小金井線(通称:境-東小金井シャトルライン)」(5号線)、 2007(平成19)3月31日に開業で武蔵野市と三鷹市による共同運行路線である「境・三鷹循環」(7号線)については、 小田急バス武蔵境営業所への運行委託となっている。

3号線の開業時に007~009(小田急バスの社番はC104~106)を投入、 5号線開業時は013,014(C125,C126)、 7号線についてはC137(ムーバスとしての車番割り当ては無し)の計6台が次々に投入されてそれぞれが開業時以来専属で就役しており、 これら車両は検査時の代走以外では基本的に他路線で運用されることはなかった。
しかし、小田急バス運行受託の車両についても遂に2010(平成22)年11月に老朽代替が行われ、 車両代替以降は運用に変化が生じた。

「境南西循環・東循環」(3号線)開業用に投入された007~009(C104~106)のうち 007,008(C104,C105)がC143~C145(ムーバスとしての車番割り当ては無し)「日野ポンチョ:BDG-HX6JLAE」に置き換わった。 ただし3号線のうち「境南東循環」については、 武蔵野赤十字病院の裏手東側にある狭隘道路について、 日野ポンチョの回転軌跡では曲がりきれない場所が3箇所存在していたことから、 日野リエッセから日野ポンチョへそのまま車両代替することができなかった。 このためこれまで「境西循環」「境-東小金井シャトルライン」(5号線)で使用されていた013,014(C125,C126)が、 C143~C145投入により3号線へ玉突きで移動、 「境南東循環」については日野リエッセによる限定運用となっていた。

そしてC143~C145については「境・三鷹循環」(7号線)開業用として先に登場したC137と共に、 5号線,7号線で主に使用されるようになった。

こうして「境南東循環」に狭隘道路がある影響でC143~C145投入後も009(C106)は除籍とはならず、 予備車として引き続き小田急バス武蔵境営業所に残留し、 一時的に保有車両数が1台純増ということになったが、 2011(平成23)年11月に009(C106)は武蔵野市へ返却・除籍となった。 近年では直接車両代替が行われず一時的な増車や減車となる場合も多く、 小田急バスの所属台数は合計6~7台で推移している。

日野リエッセ以降の新車導入を拒んできた「境南東循環」の狭隘道路問題について、 解決となる転機が訪れた。

武蔵野赤十字病院の付近を通過する通称新武蔵境通り(都市計画道路調布保谷線)の整備が進み、 道路拡幅が行われたことにより武蔵野赤十字病院側から新武蔵境通りへの右折ができなくなることから、 2014(平成26)年3月1日には境南東循環の経路が変更された。 経路変更後も013,014(C125,C126)は引き続き使用されていたが、 013(C125)については2016(平成28)年2月にC179「2DG-HX9JLCE」に代替、 ムーバス最後の日野リエッセとなった014(C126)は2018(平成30)年11月に除籍されて全車退役した。


ムーバスC145型式写真 小田急バス武蔵境営業所所有の「ムーバス」は全車が日野ポンチョに統一された。 

C145 独歩通り~武蔵境市政センター間 2010.11.17
(Photo:Ajiwai)
ムーバスC106型式写真 上記の日野ポンチョが境南東循環の狭隘道路を通行できないため、
C106は一時期予備車として残留したが除籍となった。 

C106 武蔵境駅南口 2009.7.9
(Photo:Ajiwai)
ムーバス代走10-C359型式写真 ムーバス車両の不具合が複数台重なり予備車が不足した場合は、
小田急バス一般車両による代走が行われる。 

10-C359 梶野町五丁目 2016.7.23
(画像提供:阿03の人様)

→境・東小金井線(5号線)の婦人会館を行く代走の10-C359。
(画像提供:阿03の人様)


形態分類
ムーバス005形式写真 005「1998(平成10)年式:KC-RX4JFAA」
「吉祥寺」北西循環(2号線)用として登場した初代「日野リエッセ」も形式消滅となった。
吉祥寺駅北口 2007.8.15
(Photo:Ajiwai)

→005 (リア・右側面) 
吉祥寺駅北口 2007.8.15

(Photo:Ajiwai)
ムーバス012形式写真 012「2002(平成14)年式:KK-RX4JFEA」
「三鷹駅」北西循環(4号線)開業用として投入されたグループ。
三鷹駅北口~けやき橋北間 2009.1.3
(Photo:Ajiwai)

→012 (リア・右側面) 
三鷹駅北口 2009.1.3

(Photo:Ajiwai)
ムーバス017形式写真 017「2005(平成17)年式:PB-RX6JFAA」
「吉祥寺」東循環(1号線)用の初代「日野リエッセ」置き換え用として登場したグループ。
三鷹駅北口~けやき橋北間 2009.6.28
(Photo:Ajiwai)

→017 (リア・右側面) 
登場当初よりLED行先表示器を装備

三鷹駅北口 2009.6.28
(Photo:Ajiwai)
ムーバス020形式写真 020「2007(平成19)年式:ADG-HX6JLAE」
三鷹・吉祥寺循環(6号線)開業用に用意されたのは「日野ポンチョ」となった。
ポンチョ投入に際して、外観の「数字」デザインが変更された。
吉祥寺駅北口 2009.6.15
(Photo:Ajiwai)

→020 (リア・右側面)
吉祥寺駅北口 2009.5.28
(Photo:Ajiwai)
ムーバス025形式写真 025「2009(平成21)年式:BDG-HX6JLAE」
006の置き換え用として025が導入されたが、037により代替された。
現在は関東バス一般路線車仕様のC025となり、荻窪病院シャトルバスで活躍している。
三鷹駅北口 2009.6.15
(Photo:Ajiwai)

→025 (リア・右側面) 
三鷹駅北口 2009.3.5
(Photo:Ajiwai)
ムーバス037形式写真 037「2019(令和元)年式:2DG-HX9JLCE」
020以降は日野ポンチョが一貫して投入されている。
画像は19年に投入された037。
吉祥寺駅北口 2020.2.22
(Photo:Ajiwai)

→037 (リア・右側面) 
吉祥寺駅北口 2020.2.22
(Photo:Ajiwai)


→ムーバス・車両配置表のページへ

→ムーバス・全路線一覧表のページへ



(※1)境南西循環,東循環(3号線)、境西循環,境・東小金井線(5号線)、境・三鷹循環(7号線) は小田急バスによる運行ですが、 当サイトでは参考のため車両配置表にも詳細と画像を掲載しておりますので、ぜひご確認下さい。



関東バス・アーカイブス「味わい」では、 ムーバス初代車両「001~003:KC-RX4JFAA」の画像を引き続き募集しておりますので、 皆様がお持ちの画像ご提供をお願いします。

画像のご提供については情報提供のページからよろしくお願いします。



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