関東バス型式解説 3400代

「U-UA440HSN」(Mechanical Automatic Transmission)


関東バス3401型式写真

87年の完全冷房化後、 3年振りとなる90年に投入されたのはフルモデルチェンジされた3400代だった。
画像は登場当初の3400代トップナンバー。

3401[阿佐谷]「U-UA440HSN」
荻窪駅北口 1990
(Photo:Ajiwai)

■富士重7Eボディ、AT仕様が体質改善を強く印象づける。


1985~87(昭和60~62)年にかけて非冷房車の完全淘汰を目的として3200代「P-U32K」が一挙に大量投入され完全冷房化を達成したため、 1988~89(昭和63,平成元)年の関東バスへの新車投入は一切無かった。

そこで1990(平成2)年より3年振りに新車投入が再開されたが、 ちょうど同年に1989(平成元)年規制に対応した型式のモデルチェンジがあり、 併せて投入が始まったのが3400代「U-UA440HSN」である。

同時平行で3400代の長尺バージョンである5100代「U-UA440LSN」も投入されたが、 3400代・5100代合わせて最終的に167台が導入され、 名実共に関東バスの代表型式となり一時代を築いた。

3400代「U-UA440HSN」は、運転手の負担軽減やコンピューター制御によるクラッチ操作によりクラッチ板の寿命を延ばすことを目的に 「E-MATIC」と呼ばれるMAT:機械式自動変速装置が備わっている。 しかし運転手の意思とは異なった状況で変速が行われることがあり、 導入から随時改善は進んだが、 1995(平成7)年より平行して投入が開始されたFCT:フィンガーコントロールトランスミッションのマニュアル車である3000代 「U-UA440HSN:型式は変わらず」に切り替わり、3400代投入は95年をもって終了した。

車体はフルモデルチェンジにより従来の富士重工R15系車体15型E(いわゆる5E)からR17系車体17型E(7E)へと変更され、 箱型のような角はった車体は体質改善を印象付けた。

3401~3419の1990(平成2)年式については側面方向幕が小型タイプ、 前面社紋が従来のエンブレム式、内照式出入口表示、 降車扉のアラームがチャイム等のほか、 運転手側前面窓直下には通風口が設けられ、 冷房装置以外はベンチレーターのない完全フラットの屋根となっているなど非常に特徴的であった。 その後6年間に及ぶ導入により投入年次による変更箇所は多岐に渡った。

3420以降の1991(平成3)年式からは前面社紋・出入口表示共にステッカーへ変更、 先述の運転手側前面窓直下にあった通風口は廃止、 代わりに運転席直上の屋根上に円盤状のベンチレーターが設置された。

3444以降の1992(平成4)年式からは車内照明が照明を一列に連続させた照度向上タイプへ変更、 優先席位置を中扉~後扉間に移動し横向きシート化、 最後部座席を長椅子タイプから各々アームレスト付に変更、 車内LED停留所表示器の準備工事もしくは本設が行われた。(後に1990~91年式も車体更生時に取付改造)

3488以降の1994(平成6)年式からは前扉形状の変更、 降車ボタン・床仕上げ変更、 '92年から導入された直列式照明は照度が高過ぎるということで従来の千鳥配置に戻るなど、 多岐に渡り差異が見られる。

このほかの特記事項としては、 1990(平成2)年式のみの仕様であった先述の前面通風口は車体更生時に塞がれた他、 2000(平成12)年に車体更生を受けた車両の一部は、 同年よりラッピングによる車体全面への広告が解禁されたことに伴い車体広告準備塗色として白色をベースとした独自塗装を施しており、 新たなバリエーションが発生したことなどが挙げられる。

3400代は3513まで111台が製造され管内の各路線で運用範囲も幅広く、 関東バスの各路線に姿を見せた。 排出ガス規制が1989(平成元)年規制であるいわゆるU-規制車であるが、 現役で残る車両はNOx除去装置を取り付けて1台毎の適合認定を取得しており、 軒並み経年が15年以上で長寿の型式となった。

しかしバリアフリー化の流れの中でツーステップ車である同型式の除籍が徐々に進行して、 2010(平成22)年5月のC3476除籍をもって広告準備塗装仕様車が全廃となったほか、 2011(平成23)年度をもって3扉車が全廃となることが関東バスより正式発表されると急速に世代交代が進み、 10月には遂に全廃となった。

最後まで残った3400代は青梅街道営業所に所属していたC3496,C3497で、 10月5日にC3496が西10「西荻窪駅~吉祥寺駅」から入庫便の 吉80「吉祥寺駅~青梅街道営業所」にて運用終了、 C3497も10月5日に西50「西荻窪駅~井荻駅」に充当されたのが最後となった。


関東バス3401登場当初のリア画像 3401[阿佐谷] (リア・右側面)
3401,3402のみ後部エンジンルーバーが前モデル「P-U33系」と同じ、コーナーが丸みを帯びた形状となっている。 

荻窪駅北口 1990
(Photo:Ajiwai)
関東バス3402登場当初のリア画像 3402[阿佐谷] (登場直後の姿)
 
阿佐谷営業所 1990.7.20
(画像提供:遠藤知生様)
関東バスA3512の室内画像 A3512の室内画像

3444以降では優先座席が中扉~後扉間へと移動している。 
(Photo:Ajiwai)
A3512運転席 A3512のコックピット画像

機械式ATのシフトレバー,ドアスイッチが3つあるのが最大の特徴。
(Photo:Ajiwai)

形態分類

関東バス3424形式写真 A3424「1991(平成3)年式」
前面社紋と出入口表示はステッカーに変更

阿佐谷営業所 2008.8.13
(画像提供:6621様)
関東バス3423登場当初のリア画像 3423[阿佐谷] (リア・右側面) 
後部エンジンルーバーは3401,3402を除き全て写真の形状となっている。

お伊勢の森~東原間 1992.1.15
(Photo:Ajiwai)
関東バスC3476車体広告準備仕様 C3476「1993(平成5)年式」
最後まで残る3400代の車体広告準備塗装車はC3476となったが、10年5月に除籍となった。

荻窪駅~四面道間 2009.10.4
(Photo:Ajiwai)
関東バスC3476リア画像 C3476 (リア・右側面)

四面道~荻窪駅間 2009.5.26
(Photo:Ajiwai)
関東バスA3470白塗装仕様 A3470「1993(平成5)年式」
A3470は00年に車体広告準備塗装となり03年に白色単色へと更に塗装変更された。 

中野駅北口 2006.9.12
(画像提供:ATB MODELS様)
関東バスA3470白塗装リア画像 A3470 (リア・右側面) 
白色塗装車はA3470とB5128のみだったが、A3470は06年に廃車、B5128は他車と同様の車体広告準備塗装に戻された。

中野駅北口 2006.9.12
(画像提供:ATB MODELS様)
関東バスA3512形式写真 A3512「1995(平成7)年式」
3400代最後期タイプ。94年式以降の一部車両は前扉の折戸ディテールに変更が見られる。

阿佐谷営業所 2010.8.7
(Photo:Ajiwai)
関東バスA3512リア画像 A3512 (リア・右側面) 

阿佐谷営業所 2010.8.7
(Photo:Ajiwai)


DETAILS

→3402フロント正面(登場当初の姿)
(画像提供:遠藤知生様)
→3402リア正面(登場当初の姿)
(画像提供:遠藤知生様)

→A3471屋根部分(俯瞰)
(画像提供:ATB MODELS様)

→C3476フロント正面
→C3476リア正面
→C3476サイドビュー(左側面)
→C3476サイドビュー(右側面)

→A3512フロント正面
→A3512リア正面
→A3512サイドビュー(左側面)
→A3512サイドビュー(右側面)



→3400代の車両配置表はこちら


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